「本気だよ、私。初めて灯くんにキスしてもらったときから、灯くんのこと好きなんだもん。それとも灯くんは、あの日のこと忘れた?」

最後、声が震えた。

灯くんがあの日を忘れてたら……。

そんな考えがよぎっていると、振り返った灯くんの片手が私の頬に触れた。

「忘れるわけないだろ」

「っ、」

「音桜のこと泣かすような男じゃなくて、俺のこと好きになればいいのにって思ってしたんだから」

「えっ……」

灯くんの更なる告白に、心臓がバクバクとうるさくてしょうがない。

あのキスは、おまじないとかそんなつもりでしたんだとばかり思っていた。

……ううん、ちょっと嘘。

あの瞬間、灯くんがキスしたのは私のことが好きだからだったらいいのにってずっと思っていた。

だけど、灯くんが離れていっちゃったから、最近は、もしかしたらあのまぶたのキスは夢だったかもしれないって本気で考えることもあって。

だから……。