「……あぁーーほんと、ダサい」

話し終えてそうため息混じりで呟いた瞬間、後ろから細い手が伸びてきて、俺の腹に回されて抱きしめられた。

「……っ、」

彼女の顔が、俺の背中に置かれたのがわかる。

やめてほしい、そんなことされたら、心臓の音が音桜に聞こえてしまうから。まじで。

「何してんの」

「……灯くんが、そのこと今日までずっと悩んでたんだって思うと、すごい、胸がギュッってなったから」

そう言う彼女の、俺を抱きしめる腕の力が少し強くなって、さらに心拍数が速まる。

「話してくれて、ありがとう」

「……ありがとうって……俺、しょうもない理由で突き放したのに、怒らないの?」

「怒らないよ。余計好きって気持ちが増しただけ」

「お前な……」

煽るなよ。
こっちは熱があるのも相まって、いつ抑え効かなくなってもおかしくないんだから。