「灯くん、今日は学食なんだね!一緒!」

「……その呼び方やめろ」

うっ……。

チクッと針で刺されたように胸が痛んだのに知らないふりをしながら、

「昔はそう呼んでたじゃん!」と彼の腕に巻きつこうとしたけれど、スルッとかわされてしまった。

「うわ、今日もやってるよ。津三木くんのストーカー」

そんな声がどこからか聞こえて、足が止まっていると。

「音桜――!」

馴染みの声が私の名前を呼ぶのが聞こえて辺りを見渡せば、一番窓側の席から私に手を振る佳菜子たちを見つけた。

急いで彼女たちの元へと向かう。

「音桜、また津三木先輩に絡んでたでしょー。やめな?」

「本当、あんたのその鋼メンタルは一体どこからくるの」

佳菜子含め同じグループの子たちが口々にそう言う。

やめなって……そんなこと言われても、簡単に諦めきれることじゃないもん。