……私も、この人と同じことを灯くんにしていたのかと思うと、何も言い返せない。
恥ずかしすぎて。

「自分よりやばいストーカーに説教されるとかすげぇ気分わりー」

ね?と今度は穏やかな声で言うからそれがさらに恐怖を煽る。

「でも俺、優しいからさ。許してやってもいいよ?」

その代わり、と私の耳元で囁いた男が、空いていたもう1つの腕で私の腰を引き寄せた。
突き飛ばしたいのに、力じゃ全然勝ってこない。

「……は、離してっ」

「しつこいもの同士、慰め合おうよ」

ニッと笑みを含んだ声が吐息混じりに耳にかかって気持ち悪い。

最悪だ。

灯くんと再会して素敵な高校生活を送るんだって思っていたのに。

こんなことになるなんて。

少なくとも、私の日頃の行いのせいでもある。

灯くんにしつこく話しかけたりしていなければ、この人にこんな風に迫られることもなかったかもしれない。

「顔はめちゃくちゃいいもんね、キミ」

「……っ」

初めから全部やり直したいなんて気持ちでいっぱいになりながら目をぎゅっとつぶった時だった。