わかっていたこととはいえ、赤ちゃんの世話を優先すると家事は思う通りにできない。
ペースを乱されるのは仕方ないのに、ついつい残念な気持ちとちょっぴりの苛々を感じてしまうのだ。

だから、今日は達成感でいっぱいだ。やりたいことが結構できた。
駿太郎さんの好きなグラタンも作れたし、床もぴかぴか。

駿太郎さんはいつも優しいけど、私に余裕がない分かなり頑張ってくれている。私は甘えてしまって、駿太郎さんに対して気遣いができていない気がしている。
今日は暖人が寝ている間に夫婦で団欒しよう。お仕事の話を聞いたり、先の旅行の話なんかもしよう。

そんなことを画策していた矢先、寝室で「ふみゃ」という声が。
ぎくりと振り向くと、開け放った寝室、暗闇のベビーベッドで手足をぐーんと伸ばしている息子を発見。

ああ、起きてしまった! でもきっとまだ眠いよね、暖人くん。
祈るような気持ちで駆け寄ると、ぱっちりと……いや爛々と目を光らせる息子がいた。
19時に目がぱっちり覚めたの? これからねんねは……しないかぁ。

それから私と息子の攻防は始まった。起きた息子は絶妙に不機嫌で、ずっとぐずぐずしている。
だましだましお風呂や授乳をし、お世話をひと通り終えると、駿太郎さんからの残業連絡が入っていた。お夕飯は家で食べるというから作っておいてよかったけれど、暖人はいよいよべそをかきだした。

「うぇええええ!」

小柄なのに、泣き声は力強い。うんうん、元気でよろしい。でも、ママはちょっと大変かなあ。