「どうした?」



あたしに問い掛ける、その目元はやっぱり優しい…。



「なんでも、ないよ?」



なんでもない。なんでもない。



ずっと自分にそう、言い聞かせればいつかはなんでもなくなるだろう。



それは、不安に押し潰されない為の、あたしの防衛策で。



いつか必ずくる、痛みに耐えるための、御守りで。



そうやって、今まで越えてきたんだ。



だから、大丈夫。



いつか、あらたが誰かの元へ帰ってしまっても、あたしは壊れたりなんて、しない。



大丈夫…。



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