一階についたエレベーターは、『ぴゃん。』と間抜けな音を出して止まる。 開のボタンを押したまま、 「どうぞ。」 後ろに立っていた男の人に声をかければ。 「…キミ…、」 あたしに呼び掛けた、その人。 「はい?」 振り返れば、仕立ての良さそうなスーツに身を包んだ、40前半の男の人が不思議そうな顔をしている。 「なにか?」 首を傾げつつ、問い返せば。 「いや、なんでもないよ。お疲れさま。」 少し微笑みを残して、エレベーターを降りていった。 .