「…あんず。起きろ。」 夢の中なんだろうか…? あらたの声が頭の中で響いた。 「起きないと、キスすんぞ。」 なんて、願ってもみない申し出に、たとえ夢でも目を開けないと誓う。 「あんずー。」 唇に柔らかな感触。 次いで、肩を揺する優しい手のひら。 今、何時だろう? 昨日、あらたが帰ったのは夜の11時過ぎだったはずだ。 なのに、どうしてあらたがここに? 合い鍵を渡してあるから、あたしの家に出入りは自由に出来るのだけれど。 .