夢にしてはリアルすぎる。
私はドキドキ鳴り始めた胸に手を当ててどうにか落ち着けようとする。
胸元を見ると私は学校の制服のまま。
横にはいつも通学で使っているリュックが置いてあった。

最初、神社の桜の木の下でたい焼きを食べようとしていた。
その前は確かにカオリと一緒に河原町にいた。
それもまとめて全部夢だったのだろうか。

----「その雷さんは気まぐれで…、
人間をよその世界に連れて行ってしまうことがあるんや…」----

たい焼きのおじさん…。
いやいや、それはない、やっぱこれは夢だな。

「言葉…わかりますか?」

「え?」
さっきの女のひとが心配そうな顔をして、何も答えないままの私に聞いてきた。

彼女の呼びかけにドキッとする。

「あ、あの、すみません。
わかるんですけど…でもその、やっぱりよくわからなくて」
私の言葉がまるで異言語に聞こえるのか不思議そうな顔をする。