イヅナのように、妖と共存したいという考えを持った呪術師だったのだろうか。それとも、ツヤが忘れてしまっているだけで、本当はその呪術師と仲がよかったのだろうか。たくさんの憶測が生まれる。

「あの女が誰なのかわからない。でも、あたしの名前を呼ぶその声は優しくて、もしかしたらあたしは人間だったんじゃないかと思ってしまうんだ」

ツヤがイヅナの方を向く。その顔は優しいものだった。ツヤの手はゆっくりと自身の胸元に置かれる。

「あの映像を思い出すと、胸が温かくなる。妖なのにこんなにも心が穏やかになるなんて、あの女はあたしにとって特別な存在だったのかもしれない……」

だからこそ、誰なのかを知りたい。そうツヤは口にする。しかし、妖という立場のためにエーデルシュタイン家から監視されており、任務の時以外はそれほど自由に動けないのだと話していた。

「なら、あたしがその人が誰なのかを調べます!調べさせてください!」

イヅナがそう言うと、頭に手が置かれる。ツヤはフッと笑った。