そう言ったツヤの顔を、月が儚く照らし出す。その時のツヤの表情は、どこか寂しそうだった。
どこか冷たい夜風が髪を揺らす。ツヤはその場に腰掛け、イヅナにも座るよう促した。イヅナはツヤの目の前に座り、ツヤはそれを見てから口を開く。
「あたしは、気が付いたら森の中にいた。その時とても空腹で、人が喰いたかった。数日森を彷徨い、ようやく人間を見つけて喰おうとしたんだが、体に激痛が走って気を失った。あたしが喰おうとしていた人間は、アレス騎士団を創ることを決めたエーデルシュタイン家の人間で、あたしは寝食を提供する代わりに戦闘員になってほしいと頼まれ、今に至る」
「……ちょっと待ってください。ツヤさんは人を喰べたことがないんですか?」
鬼といえば、イヅナたちが初めて出会った妖だ。人を喰い、イヅナたちも殺そうとした。イヅナが驚いていると、おでこを指で弾かれる。
「お前は馬鹿か。人を喰ったことがあれば、その時点であたしの心臓は撃ち抜かれるなり、刺されるなりして殺されている!あたしには人を喰おうとすると激痛が走る呪いがかけられていて、人を喰えないんだ」
どこか冷たい夜風が髪を揺らす。ツヤはその場に腰掛け、イヅナにも座るよう促した。イヅナはツヤの目の前に座り、ツヤはそれを見てから口を開く。
「あたしは、気が付いたら森の中にいた。その時とても空腹で、人が喰いたかった。数日森を彷徨い、ようやく人間を見つけて喰おうとしたんだが、体に激痛が走って気を失った。あたしが喰おうとしていた人間は、アレス騎士団を創ることを決めたエーデルシュタイン家の人間で、あたしは寝食を提供する代わりに戦闘員になってほしいと頼まれ、今に至る」
「……ちょっと待ってください。ツヤさんは人を喰べたことがないんですか?」
鬼といえば、イヅナたちが初めて出会った妖だ。人を喰い、イヅナたちも殺そうとした。イヅナが驚いていると、おでこを指で弾かれる。
「お前は馬鹿か。人を喰ったことがあれば、その時点であたしの心臓は撃ち抜かれるなり、刺されるなりして殺されている!あたしには人を喰おうとすると激痛が走る呪いがかけられていて、人を喰えないんだ」


