そんなすごいものをツヤは開発できたのか、とイヅナは目を丸くする。するとヴィンセントに手を掴まれた。

「この人狼は強い。人間の姿になった時に接触した方が僕たちの疲労も少なくて済む。今夜は一旦引いて、人間になった姿を探そう」

ヴィンセントの提案に、イヅナは「えっ?」と呟く。この人狼は今は意識がない。核を壊すなら今しかチャンスはない。

「もう一時間もしないうちに夜明けが来る。そうすると、この人狼は元いた場所に戻るため、人がいたらさらに凶暴化して手がつけられなくなる。イヅナやレオナードに傷付いてほしくないからね」

ヴィンセントの言葉に「わかった」とレオナードは言い、警戒しつつも構えを解き、人狼から離れていく。

「僕たちも帰ろう」

「あ、うん……」

ヴィンセントに手を引かれながら、イヅナは歩いていく。人狼はまだ意識を失っているようで、ピクリとも動かない。その様子を見ながら、イヅナの体が震えた。

(一体誰なの?誰が人狼なの?)

自分たちが関わってきた誰かが、この事件を引き起こした妖だ。そして、その妖になっている間は一切言葉が通じない。