幼なじみのレオナード・ロマーナ、そしてヴィンセント・レゴシと共にアレス騎士団の入団試験を受け、それに合格して早二ヶ月。上司となった鬼のツヤ・シノノメに稽古をされつつ、ツヤと任務をする日々である。

今日の任務は、この廃墟となった城に住む妖を倒すことだ。城に住む妖たちが街に現れ、人々を襲っているとギルベルト・エーデルシュタインから聞かされ、この街へ来たのである。

イヅナ、ツヤ、レオナード、ヴィンセントの四人はバラバラになり、城に住む妖を倒すことになった。一番強い妖はツヤが倒し、まだまだ修行中であるイヅナたちは比較的弱い妖を倒すことになっている。

しかし、城の中を歩き回って一時間以上経つが、イヅナの目の前に妖は一体も現れていない。不気味な城をひたすら探検しているだけである。

「疲れたわ……」

歩き回り続けたため、イヅナは立ち止まり、壁にもたれる。そしてヴィンセントやレオナードは妖を見つけたのか気になり、「出てきて」と祈った。すると、イヅナの目の前に一匹の白猫が現れる。

「レオナードとヴィンセントのところに行って、妖を見つけたか聞いてきて」

イヅナがそう言うと、猫は「なぁん」と一度鳴き、暗闇の中に姿を消す。イヅナはその様子をジッと見ていた。