あやかし戦記 葛藤の炎

「村の人たちの笑顔を取り戻したい……」

イヅナがそう呟くと、ヴィンセントが「そうだね」と頷き、レオナードがイヅナの肩を優しく撫でる。

新人三人だけの任務が、こうして始まった。



硬く寝心地がいいとは言えないベッドで眠り、村で収穫された野菜がたっぷり使われた朝食を食べた後、イヅナたちは早速事件のことを調べるため、宿を出て村を歩く。

「……ここが、シェリー・フルラさんの惨殺遺体が見つかった学校ね」

木造三階建ての小学校を見上げ、イヅナは呟く。村に学校と呼ばれるものはこの一つしかなく、中学生になるとこの村の子どもたちは寮のある学校へ行くそうだ。

（小学生の頃、ヴィンセントやレオナードに綺麗な花畑を探すのを手伝ってもらっていたなぁ……）

小学校の門を通ると、運動場でまだ低学年と見られる子どもたちが遊具で遊んでいる。そんな無邪気な姿を見ていると、自分が彼らと同い年だった頃が自然と浮かぶのだ。

だが、この事件とは無縁そうなこの学校で遺体が見つかった。行方不明になっていた四年生のシェリーだ。