村の中心にある役場につくと、村長であるジェイムズ・ポールは「遠いところ、来てくれてありがとう!」とにこやかに笑って出迎えてくれる。

(この人が元アレス騎士団の団員……)

白髪を綺麗に整え、スーツを着こなすジェイムズは、パッと見ただけではただの礼儀正しいジェントルマンだ。しかし、ニコニコと笑う彼から感じたオーラにイヅナはすぐに団員だったのだとわかる。妖、そしてイヅナたちに対する警戒と強さを感じたのだ。

「友達のお孫さんですって」

「こんな事件が起きている時に遊びに来たの?」

ヒソヒソと役場で働く人たちが話す声が聞こえてくる。ジェイムズは「奥で話そう」と言い、イヅナたちはジェイムズのあとをついて行った。

村長の仕事部屋に入ると、「新人が来るとは思っていなかったな。三大戦闘員もいないようだし、大丈夫なのかい?」と不安げに言われる。やはりそう言われるか、とイヅナとヴィンセントは顔を見合わせた。しかし……。

「俺たち、あの難しい試験を乗り越えたんだ。任務もちゃんとこなせています!」

レオナードがジェイムズに詰め寄る。「こら!」と慌ててヴィンセントが止めた。