「今の時間帯なら、村長のジェイムズさんは役場にいると思うよ」

男性が教えてくれた。イヅナたちは「ありがとうございます」と言って役場に向かおうとすると、「待つんだ」と男性に鋭い声をかけられる。

「いいかい?夜に出歩いちゃいけないよ。じゃないと、何者かに攫われて殺されてしまうからね」

いいね、と男性に強く言われてイヅナたちは頷く。その圧力はまるで妖と対峙した時のようだ。イヅナの体に寒気が一瞬走る。

「はい。出歩きません!」

レオナードが元気よく言い、固まっているイヅナとヴィンセントの腕を掴んで歩いていく。その時、イヅナが周りに意識を集中してみれば、子どもに対して大人が強く言い聞かせている場面が見られた。

「いい?夕方になったら絶対に家から出ないで!」

「暗くなるまでに帰って来なかったら、夕飯は抜きたぞ」

「なるべく外に出ないで。殺されるわ」

「今日はどこにいくつもりだ?夜には帰ってくるんだろ?」

夜が近付くにつれて、大人たちがピリピリとした空気を放ち、子どもたちは怯えているように見える。やはり、この村で凄惨な事件が起きているのだ。