イヅナ、レオナード、ヴィンセントが行くことになったのは、何と国外だった。イヅナたちの住む国から西にある農業が発展し、多くの食糧の輸出をしている国だ。この国からは船で丸二日ほどかかる。

「……まさか、人生で初めて行く海外が任務だなんて想像すらしたなかったよ。アレス騎士団って海外での任務もあるんだね」

乗り込んだ船の中で、ヴィンセントが苦笑しながら言う。海外での任務についても、アレンならば詳しく知っていただろうが、上司の違う彼とは、未だに会えずじまいである。

「でも、仕事とはいえ海外なんてわくわくするな!俺たちが行くホーリー村って調べたらおいしそうなご飯の写真がいっぱい出てきたし、花が似合う美人さんもきっとたくさんいるだろうし」

レオナードが頬を緩ませながら言う。ヘラリと笑う彼にイヅナはムッとし、「遠足じゃないのよ?」と睨む。

新人三人、しかもイヅナに至っては未だに妖を倒したことのない状態で任務に当たるのだ。レオナードとヴィンセントがいる、と一時は安心していたものの、やはり不安は心にある。