あやかし戦記 葛藤の炎

任務につくようになってわかったのは、意思疎通ができる妖は少数だということだ。イヅナたちが初めて見たように意思疎通ができるのは、何千人もの人間を喰べ、特別強くなった存在だけなのである。

意思疎通ができない妖は、野生動物と何ら変わらない。ただ人間という獲物を狩り、貪り喰い、騎士団に殺される。そのため、イヅナがどれだけ平和を訴えようが無駄なのである。

「また、ダメだったわ……」

いつも任務では妖が殺される。イヅナは今日のように震えて何もできないままなのだが、重いものが心にのしかかっていた。

「ガキ共、無事か！？」

そこへ、親玉を倒したのであろうツヤが走って駆け付けてくる。その腕は今にもちぎれそうになっており、「治してから来てください！」とヴィンセントが顔を真っ青にしながら言った。

その後、イヅナはまた震えて殺されかけたことがツヤにバレてしまい、こってり怒られることになった。



そんな任務から数日後、イヅナとレオナード、ヴィンセントはギルベルトの屋敷に呼ばれたのだが先客が来ており、待つ間たまたま屋敷にいたチェルシー・モールバラとエイモン・ウィーズリーとお茶会を楽しむことになった。チェルシーに誘われたのだ。