よだれを撒き散らし、ミノタウロスが斧を振り上げてくる。イヅナはただ震えながら自身がバラバラにされて喰べられることを想像していた。刹那。

ヒュッ、と風を切る音がした。次の瞬間、ミノタウロスの太い腕に矢が突き刺さる。続けて足や腹にも矢が刺さった。ミノタウロスは悲鳴を上げ、首を守る。この矢には見覚えがあった。

「イヅナ、大丈夫?」

ヴィンセントが弓を構えながら言い、イヅナは何度も頷く。すると、戦鎌を構えたレオナードに肩を抱かれ、「お前は後ろにいろよ」と言われる。

「ヴィンセントが矢を放ったおかげで見えたぜ。お前の核はここだ!」

レオナードが笑い、ミノタウロスに飛びかかっていく。そして一瞬にして首を斬り落とした。ミノタウロスは悲鳴を上げ、その場で絶命する。

「ったく、何のための薙刀なんだよ」

ミノタウロスを倒した後、レオナードは呆れたようにイヅナに言う。ヴィンセントにも「あと少し遅かったらヤバかったんだよ?」と言われ、イヅナは「ごめんなさい」と謝った。