驚きに椎茸は吹き飛び、たっちゃんにお皿と箸を預けて頭を押さえると、総攻撃を受けたお兄様はまた泣き真似をして、お肉を食べる。

懲りてないお兄様を横目で睨むと、たっちゃんのお皿に椎茸が盛られた。



「これで良いか!」



「莉帆」



「……わかったわよ;;」



お兄様なりの事。

しかし、それで納得は行かず睨み続けてると、莉帆さんのお父さんがクスクスと笑い、莉帆さんに声を掛けた。



「ちょっと、待て。ちょっと待て!;;」



「好き嫌いはダメよね?」



「いただきます;;」



でも、莉帆さんは甘くない。

お兄様からお皿と箸を受け取ると、春菊を取った。

卵に絡めて口元に運ばれ、お兄様は逃げるも最後は言いなり。



「う゛う゛う゛う゛……;;」



「私が食べさせたのよ?美味しいでしょう?」



「あ゛い゛!;;」



喉元を押さえ、まるで毒草でも食べたかのように藻掻くお兄様。

ニヤニヤと笑う莉帆さんと目が合うと、ウインクされ、私も笑顔を返し、たっちゃんに向き直る。



「美味いか」



「たっちゃんに食べさせて貰うと何倍も美味しい」



「お前、椎茸嫌いだろ」



「はい!ようやくお気付きで?」



「でも悪かった。俺は好き嫌いない」



「え゛……」



椎茸を食べながら、ようやく知って貰えた事実。