【短編】貴方だけを愛しています

咲来に騙されたと怒鳴る慧斗さん。

たっちゃんが口を挟めば、殴り掛かって来た。

サッと立ち上がり、拳を掴んだたっちゃんは、離れようとする慧斗さんの拳を掴んだまま、ジリジリと追い詰めて行く。



「動いたら、達也の喧嘩の師匠である俺が相手だ」



「「…………;;」」



的渕家の護衛が動こうとすると、お兄様が割って入り、首をポキポキと鳴らしながら牽制。



「好きな女に愛されない結婚に、何の意味がある」



「クッ――!;;」



「唯来に固執する前に、守るべきもんが出来たんじゃねぇのか。子供が100パー出来ないと思ってたわけじゃねぇだろ」



「いい゛っ――!;;」



未だ追い詰められてる慧斗さん。

反論したそうだけど、捻られた腕の痛みに藻掻くしか出来ないようだ。



「お前も少なからず、唯来の生い立ちも含めて好きになった筈だ。唯来は俺が守り、幸せにする。お前は、自分の子を守る事を考えろっ!!」



「……っ……、」



「「「『…………』」」」



「ごめんなさい……っ……」



「…………」



たっちゃんに解放され、痛みだけではない涙を溢しながら崩れた慧斗さん。

謝罪を受け、私は咲来を見た。