【短編】貴方だけを愛しています

「――…っ!!?」



「「「「…………っ、」」」」



リビングへと連れて行かれると、纐纈の家族も居た。

驚きと怒りに目を見開くと、4人は私から目を背けた。



「あらあら、手荒な真似して。慧斗の為に、その子に傷付けないでね」



「心得てます」



「……生意気に」



私が来た事を聞いたのか、押さえてる1人に声を掛けながら、顔に触れようとして来た頭取の奥様。

慌てて顔を背ければ、伸ばした手を拳にして下げる。



「遅れました」



「慧斗も戻った。纐纈社長に、お礼を積まないとな」



「…………」



「「「「恐れ入ります……っ!」」」」



ソファーに黙って座ってた頭取が、慧斗さんが戻ると、足元に置いてたアタッシュケースを持ち上げた。

纐纈が揃って土下座すると、4人を探るように見ながら100万円の束が一つずつ置かれて行く。

ーーピンポーンッ



「来ましたね。葉山さんたち」



部屋の静けさを割く呼び鈴。

頭取の手が止まり、奥様が立ち上がる。



「ん゛!;;」



葉山家と離す為か、無理矢理、移動させられる。



「お取引中でしたか」



「随分と、余裕そうで」



「「「『…………?』」」」



案内されてやって来た、葉山の家族。

お父さんと、たっちゃんが空いてるソファーに許可を得る前に座る。