背後から聞こえた男性の声。
穏やかでよく通る低音に、私の体が硬直した。
嘘、嘘嘘。
「皆川先生、今からお昼ですか?」
「うん。やっと手が空いたから」
「そうですか、今日も忙しかったですからね」
「そうだね」
とても親しそうに敬と話す男性。
私は振り向く勇気がなくてずっと固まっていた。
「環、どうした?こぼれてるぞ」
「え?」
敬が指さしたのは私の白衣。
見るとスプーンに乗せていたはずのオムレツがポトンと落ちている。
「あ、ヤダ」
ちょうどケチャップの部分だったからすでに染みになって、赤く染まってしまっている。
「バカ、こするなっ」
近くにあったウエットティッシュでゴシゴシする私を敬が止める。
「ああー、もう」
やはり白衣についてしまったケチャップはとれそうにない。
仕方ない、ロッカーに戻って着替えよう。
ったく、時間がないのに。
「変わらないね」
ん?
どうやら私に向けられた言葉に、彼の存在を思い出した。
錯覚ではない。
今、私の後ろに、あの人がいる。
「環?」
挙動不審の私を敬が覗き込む。
どうしよう。
逃げられるものなら一目散に逃げだしたい。
「大丈夫か?」
ポンと敬の手が私の肩を叩き、瞬間我に返った。
穏やかでよく通る低音に、私の体が硬直した。
嘘、嘘嘘。
「皆川先生、今からお昼ですか?」
「うん。やっと手が空いたから」
「そうですか、今日も忙しかったですからね」
「そうだね」
とても親しそうに敬と話す男性。
私は振り向く勇気がなくてずっと固まっていた。
「環、どうした?こぼれてるぞ」
「え?」
敬が指さしたのは私の白衣。
見るとスプーンに乗せていたはずのオムレツがポトンと落ちている。
「あ、ヤダ」
ちょうどケチャップの部分だったからすでに染みになって、赤く染まってしまっている。
「バカ、こするなっ」
近くにあったウエットティッシュでゴシゴシする私を敬が止める。
「ああー、もう」
やはり白衣についてしまったケチャップはとれそうにない。
仕方ない、ロッカーに戻って着替えよう。
ったく、時間がないのに。
「変わらないね」
ん?
どうやら私に向けられた言葉に、彼の存在を思い出した。
錯覚ではない。
今、私の後ろに、あの人がいる。
「環?」
挙動不審の私を敬が覗き込む。
どうしよう。
逃げられるものなら一目散に逃げだしたい。
「大丈夫か?」
ポンと敬の手が私の肩を叩き、瞬間我に返った。



