「まあいいや、先輩、ここの音程、ちょっと低いです」 楽譜を指さしていつものように言う実里。 いつの間にか、実里の色はなくなっていた。 「え、ほんと⁉一緒に吹いてもらってもいい?」 「もちろんです、いきますよ、1,2,3!」 二つのフルートが重なって一本になる。 実里と吹くのは楽しい。 お互いの特徴が分かっているし、ある程度一緒に吹いた経験があるから一本に聞こえやすいのだ。 吹君ともこんな風になれたらなあ。