「とりあえず、先輩のソロから行きましょ。」

「ええ!ちょっと実里!」

「いきまーす、1,2,3!」

慌ててフルートを構える日音先輩。

わたわたしててかわいい。

慌てて吹き始めたのにもかかわらず、先輩のソロは美しい。

儚くて

優しくて

寂しくて

でも、少し痛みも感じる先輩のソロ。

日音先輩そのものを音にしたような。

儚くて、消えてしまいそうだ。

ふと、先輩が遠くに行ってしまうという錯覚に襲われた。

先輩には影がある。

誰にも見せない影の部分。

先輩は何を抱えているのだろう。