牡丹くんの行きたい場所は今流行りの新しく駅前にできたタピオカ専門店だった。


飲み歩きで良いという話になって、一時間列に並んで購入。牡丹くんはコーヒー、わたしはレモンティーにした。



「甘党ではないんだね。真篠くんならクリームたっぷりのバニララテとかにしそう」


「確かに。俺はただもちもちしてるやつが好きで。でも並んでまでして買いたいって男友達いなくてさ」


「だけど並んでるのあっという間だったね」



そう、あっという間だった。うまく話せるかとか楽しいかとか心配事ばっかりしながら待ち合わせしたのに、気が付けば1時間並べてて無事においしいレモンティーともちもちタピオカを堪能している。


思った以上に話上手だった。これはゆるるが大丈夫って言ってくれたのも納得。心配なんていらなかった。まかせっきりで申し訳ない気持ちはあるけれど。



「あ、牡丹くん。この後はどうするか決めてる?」


「特には。ふらっとして、お腹空いたらごはん食べようと思ってた」



かっちりスケジュールを組まずにいてくれたことに安心を覚えた。あまり決め事ばかりだと守れなかった時のことが気になっちゃうから。



「よかったあ。なら、少し洋服見てもいいかな?あ、一応買い物は早いほうだけど飽きたら言って!」


「はは、いいよいいよ。タピオカ付き合ってもらったし」



優しい。寛大!さすが、真篠くんと友達なだけある。



「欲しいものとか、いつも買う店とかあるの?」


「欲しいものはデニムスカート!台形のがいいなあ。でもお店は特に気にしてないよ」



というわけで目に入ったお店をぐるりと一周。見つけた、探しているアイテムに近いものを手に取って、生地と形とボタンとポケットの位置を確認する。