「こんな送ってくるなら通知しつこいからアルバム作れよ」



気が利かなくてごめんなさい。でもそんなに不機嫌になること?真篠くんを好きな女の子たちが信じられない。



「もう一枚あるだろ」


「全部送ったよ?」


「携帯貸して」



抵抗する間もなく奪われるプライベートの塊。見られてはずかしいものはないはずなのになんだかはずかしくなる。慌ててしまう。


この人意味わからない。強引だし、意図もわからない。



何かを操作したかと思えば押し付けるようにして返ってきた。何をしたのか聞こうと思ったけど彼は目を閉じて眠ってしまった。



寝顔かわいいな…イケメンってずるい。憎たらしくてもぜんぶ許しちゃいたくなる。


意地悪された腹いせで悪態をつくスタンプを送ってやろうとメッセージを開くと、わたしの携帯から彼宛てに写真を追加で一枚送っているのを発見した。

わたしとふたりで映った写真。



これは、わたしは送った覚えがない。だってこんなの、真篠くんはいらないでしょう。


でも、もしかして、もしかしなくても、さっきこれを送ってた?欲しかったの?どうして。



「真篠くん…ずるい」



彼のまわりにはたくさんの女の子。触れて、触れられて、笑いかけて、言葉をかけて、虜にして…きみはそういう人。


それなのにこの、理解できない行動。


長いまつげの先が揺れている。ずるい、と言ったのを聞いていたのか口元には弧が描かれている。寝たふりもずるい。


たぶん真篠くんは、悪いコ。


収拾がつかない感情が、体中をめぐっていた。