むりじゃなくなりたいのに、心臓がばっこんばっこん鳴っている。胸もそんなにあるわけじゃないし、このまま飛び出してくるんじゃないかな。


「真篠くんとしたくないわけじゃないからね…」

「え、」


きょとんとした表情を向けられる。

これはしばらくずっと言いたかったこと。



「むしろ絶対!初めてのもろもろは全部真篠くんとだって思ってるから!」


だからもうっちょっと待って。たくさんたくさん憧れてきたことなの。


きみに触れたらどんな気持ちになるんだろう。


あれやこれを真篠くんとするなんて考えただけで、至る前にときめきでしんでしまう気がする。

それもいいかなあ…なんて思いはじめちゃってるから、これはもうどうしようもない。



「ふうん。ならいつかもらってあげる」

「そ、そうしてくださいな」


「おれの最後は、おまえにあげるよ」



何もされていないのに、その言葉だけで舞い上がりそう。

最初はもらえなかったけど、たまには好きなものは最後にとっておいてもいいのかもしれない。



「もしかして今…ぷろぽーずされた……?」

「これでいいのかよ」


あれ。そうなるとわたしは最初も最後も真篠くんになるってこと?経験値はきっとこれから先も縮まる気配はない。



だけど笑ってる。よかった。


自分が変わっていく。


これからもこうやって何かあったとき、ふたりで話して、がんばろうって思えたらいいな。