誰かと電話なんて、たまにはおりんと電話をしながらメイク動画を見て研究するくらい。

休みの日はこうすれば声が聴けるんだね。



「なあ、明日の朝待ち合わせする?」


え。一緒に登校するってこと?付き合うとそんなこともできるんだ。真篠くん、今までカノジョがいても絶対ゆるると来たり一人で来たりだったのに。


「ごめん!明日は、はおりんたちと約束してるの」


そう。実は、はおりんとみゆたんとマキマキに少し早く登校してもらえるように頼んだんだ。

話せなかったからちゃんと言いたい。


「じゃあ放課後は?バイト?」

「あ、放課後は、牡丹くんと会うの」


この休み中に話せたらよかったけど予定が合わなかったんだ。



「ふーん」

「あの。明後日、朝一緒に行かない?バイトもないんだけど…放課後遊びに行かない?」

「……いいよ」


いいよ、だって。よかった。

誘ってもらえてうれしかった。


「何かあったらちゃんと言えよ」


心配されている。


「うん」

「牡丹に手出されそうになってら殴れよ」

「牡丹くんは真篠くんじゃないんだから大丈夫だよ」


殴れないし。



「…おれ、もうおまえにしか手出さないから」



びっくりした。あの真篠くんが、こんなこと言うなんて。清算したのも、わたしのため…?



「あ…ありがとう?」

「手出していいのかよ」

「まだだめ!」

「はいはい」


なりたかった特別に、なれていることを実感する。

どうしてわたしだったのかな。


「おやすみ」


真篠くんとこの言葉を交わしたのは初めてだった。名残惜しくて、少し返事が遅れてしまう。

初めて、だらけ。


なんだかうれしいことばかりで、泣きそうだよ。