今どんな顔して笑っているんだろう。わたしは恥ずかしいよ。


「ちょっと、笑いすぎだよ…!仕方ないでしょ。電話にはすぐ気づいたけど緊張しちゃって、深呼吸たくさんしてたら切れちゃったんだよ。早くかけなおさなきゃって思うでしょ」

「緊張したの?はははっ」

「突然電話してくるからだよ」

「何してんのかなーって思って」


心臓が、じんわりあたたかくなる感覚。


「すごい」

「何が?」

「わたしも、休みの間ずっと同じこと考えてたの。真篠くんどうしてるかなとか、声聴こえてこないかなとか、毎日学校だったらいいのにとか…」

「おまえってけっこう直球なんだな」

「だって口に出さないとなんかむずむずするというかそわそわするというか……」


直球だった。今さら恥ずかしくなってくる。なんでもかんでも言い過ぎだったかな。

言わなくてもいいことが何なのかわからない。



「まあ、うれしーけど」

「……ほんとう、に?」



ぼそりと、低い声。



「本当。同じこと思ってたからすごい、なんだろ?」

「あ、うん」

「うん、すごいな。休みの日もおれのこと考えてたとか、かわいーじゃんね」

「かわ…!?」



恋とか両想いとか、すごい。

何もしていないのに、すっぴんなのに、話してるだけで褒められた。かわいいって思ってもらえた。

どきどきしている。さっきドラマを見ていた時のそれとはぜんぜん違うの。もっと、ぎゅーっとなる。


「で、何してたの?」

「ドラマ見てた!真篠くんは?」

「あのコテッコテのラブストーリーか。おれは風呂から上がった」

「お風呂か!わたしも入った!」


コテッコテのラブストーリーよりこの電話を選んだよ。きっときみよりわたしのほうがうれしかった。