「蒼!」

声がして振り返ってみると、

「うわっ‥‥‥‼︎」

階段の下には、走ってきたのか息を切らした陽向くんがいた。

驚きのあまり、思わず変な声がでてしまった。

「蒼、びっくりさせてごめん」

「う、ううん! でも、なんで?」

さっき、“学校行くから待っててね”とメッセージを返したはずなのに。

「蒼に会いたいあまり、待ちきれずに来ちゃった!」

「〜〜〜〜っ‼︎」

な、なんて可愛いこと言うの⁉︎

とってもかっこいいのに、不意に見せる可愛い一面。

そのギャップに、心臓をズキュンと撃ち抜かれた。

せっかく風邪が治ったのに、また熱がでたんじゃないかってぐらい体が熱い。

陽向くんの言葉に、ドキドキしてる自分がいる。

「蒼、大丈夫? まだ、熱あるんじゃない?」

陽向くんは、風邪のせいだと思っているみたい。

まぁ、そのほうが断然いいんだけど!

この前のおでかけ先といい、2度目となる不意打ちを食らった私は、おぼつかない足取りで階段を降りる。

「も、もう風邪治ったから大丈夫だよ」

「でも、まだ病み上がりでしょ。治りかけが1番肝心なんだよ?」

そう心配してくれる陽向くん。

まるで、お母さんみたいだ。

「本当に、大丈夫だから‥‥‥って、きゃっ!」

階段から足を踏み外してしまい、バランスが崩れる。

やばい‥‥‥!

落ちる!

「蒼っ‼︎」

目の前には、咄嗟に手を広げた陽向くんの姿。

ぶつかっちゃう!

「‥‥‥っ!」