【蒼 side】

帰り支度を終え、美菜のところに向かう。

「美菜、一緒に帰ろう」

「いいよ」

「ちょっと、待って。蒼ちゃん」

琉輝くんに呼び止められた。

「少し話がしたいんだけどいいかな?」

そう言われて戸惑ってしまう。

たぶん、話って陽向のことだと思うから。

躊躇する私に、背中を押したのは美菜だった。

「蒼、行っておいで。私はここで待ってるから」

「‥‥‥美菜」

「ごめん、美菜。少しの間だけ蒼ちゃんかりるから」

「うん」

「じゃあ、蒼ちゃん。行こっか」

頷いて琉輝くんと教室を出た。