乃々華と夏樹が瞬の転校の本当の原因を知っているのかは、私には分からない。

乃々華には別れたことは伝えたけれど、夏樹とは今となっては一切話をする機会がないから未だに伝えられずにいる。


私が、一番悲しかったことは四人でいられる時間が無くなったことではない。

瞬と別れた瞬間、私にはそばに居てくれる人がいなかった。

辛いことがあった時、悲しい時一番そばにいて慰めてくれたのは夏樹。

その夏樹がそばにいないことがとてつもなく寂しくて、その時初めて夏樹が大切な存在だったと気付かされた。

瞬と別れてからもう二ヶ月経つけれど、半年前告白されたあの日から夏樹と話をしたのは数える程しかない。

当たり前に夏樹としていた登下校は、瞬とすることになったけれど、瞬と別れた日から一人で通うことになった。それがなぜか寂しくて、どれだけ夏樹が大きい存在だったのかを思い知らされた。

今更付き合いたいとか、好きだとか言うつもりもないし、正直これが好きという気持ちなのかと言われたら確信は持てない。

それでも一人は怖いほどに寂しかった。

瞬と別れてから、せめて友達の関係には戻りたいと思い夏樹のクラスに会いに行ったけれど、夏樹は何故かいつもいなかった。

廊下を通る時見かける度に目線を送ったけれど、夏樹がこっちを見ることも一度もなかったし、当たり前のように毎日私の部屋に来ていたのに、今では自分の部屋にいることさえ少ないように思う。