ある日二人で手を繋いで校門から出ようとした時、知らない女の子に話しかけられた。話を聞いたらその子は……瞬の彼女だと言った。

端的に言えば浮気していた、の一言だと思う。でも単なる浮気ではなかった、彼女と名乗る人はその子を含めて三人いた。

しかもそのうちの一人は瞬との子を妊娠してると言ったその時は、私は気を失うほどに驚いた。

前から瞬の優しさに全く疑問を抱いていなかったわけではないけれど、私が彼女だからだと必死に自分に言い聞かせてきた。でもその事実が揺らいだ時、私の心に浮かんだ言葉は「別れ」。

私は浮気するような人間と付き合ったつもりはなかったし、瞬が本性を偽って仲良くしていたことに腹が立ったのも事実だ。
四人で仲良くしていた時間は戻ってこないだろう、それが悲しかった。

それでも瞬は必死に私を止めようとしてきたけれど、私はよりを戻すつもりは一切なかったから、その願いを無視し続けた。

そして先週末ついに瞬は転校した、きっと彼女の妊娠が問題になったのだろう。今となっては私には関係の無いことだけれど、私だって全く傷つかなかった訳では無い。
一時期は本気で好きだったし、その瞬間がずっと続くと思っていたからこそ、裏切られた時の衝撃は大きかった。
そしてそんな人間を好きになってしまった自分にも少し腹が立った。