Not Too Late

「雨にぬれてびしょびしょになりながら『会いたい。』って好きなやつに自分の名前呼ばれて放っておけるわけねぇだろ。」

今聞き間違えじゃなければ確かに……

「…今なんて？」

「え？」

「…あぁ、俺は華菜のこと諦めるつもりねぇよ。」

「…え？」

「…俺はずっと華菜が好きだ。他に彼氏できても、俺なんか眼中になくても関係ねぇ。いつか絶対振り向かせてやるから。」

「……うっ……。」夏樹はこんなに真剣に私の事を想ってくれていたんだ。それなのに私はあの日…。

「…何泣いてるんだよ。瞬なんか忘れてまた他の人と幸せになればいいだろ？」
夏樹は笑ってくれたけれど、どこか悲しそうな顔。

「……夏樹じゃなきゃ嫌だ。」もう、どうなってもいいから私の気持ちを伝えたかった。夏樹以外の人と幸せになるなんて考えられない。私はずっと夏樹といたい。

「…え？」

「…本当は夏樹が好き…大好き…。でもあの時断っちゃったし、もう嫌わてると思って……それに言うのも気づくのも遅すぎた……。ずっと夏樹と一緒にいたい。夏樹じゃなきゃ嫌だ。」言いながら涙が止まらないけれど、やっと言えた、本当の気持ちを夏樹に伝えることが出来た。

「…まじかよ…。」顔をあげてみると、夏樹は泣いていた。

「…なんで泣いて……」そう言い終わる前に私はキスされた。泣きながら震えながら必死にしてくれたキス。

「…嬉しい。じゃあ俺の彼女になってくれるの？」

「……彼女…？いいの……？」今更遅すぎるのに、彼女になってもいいのだろうか？

「いいに決まってるだろ、ああでもなぁ、彼女だけじゃなくて俺の妻にもなって欲しい。」恥ずかしがることもせずに、きっぱりと言うから私は涙が引っ込んで、顔が赤くなるのを感じた。

「…なる…なりたい……。」今まで色々あったけれど、夏樹と一緒にいられるのなら、それでもいいかもしれない。