何も知らない巽先輩は、哉太先輩と話し続けている。
どうしよ・・この手をどうしたらいいのかわからない。
「あの、哉太先輩・・っ。」
繋いだ手に力を入れて少し引っ張ると、哉太先輩が振り向く。
わーーーっ!!なんか顔近っ!!
「ナニ?」
哉太先輩がからかうように、繋いだ指をなぞりながら微笑む。
恥ずかしくなってうつむきながら、繋がれた手を解こうとすると、
哉太先輩がグッと力を込めて繋ぎ直す。
「もう離しちゃうの?」
少し近づいて、肩がぶつかると、小声で囁いた。
哉太先輩を見上げると、大きな瞳に私だけが映っていた。
こんなドキドキしちゃう近距離で、手なんか繋いで、哉太先輩ってずるい。
こんなことされたらみんな好きになっちゃうじゃんっ。

