「あ、待ってジェームズ! 私も一緒に行く!」
 私も慌てて、テテテッとジェームズの後を追う。
「リリーお嬢様も一緒にでございますか?」
「馬車ではちゃんと静かにしてるし、騎士団ではジェームズと手を繋いで勝手な行動はしないって約束する。私も一緒にパパのところにお届けがしたいの……ダメ?」
 私が胸の前で両手を組み涙の溜まった目で見上げれば、普段あまり表情を動かさないジェームズがたじろいだように目を泳がせた。
「い、いえ。ダメなどと、そんなことは。では、リリーお嬢様も一緒にまいりましょう」
 心なしかジェームズの顔は紅潮し、その声も上擦っているような気がした。
「うん、やったぁ!」
 騎士団でのパパって、どんななんだろう!? 家でのパパしかしらない私は、騎士団長として働くパパに興味津々だった。
 ウキウキで馬車に向かっていたら、私の騎士団行きを他の使用人から聞き付けたクレアが、慌てた様子でやって来た。
「まぁまぁ。リリーお嬢様も騎士団に行かれるのですね?」