今日から騎士団長の愛娘!?～虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです～

「だからベルには、パパたちの前ではネコのふりをして欲しいの!!」
『なっ!?　わしにネコの真似ごとをしろと申すか！』
　ベルは金色の目をカッと見開いて私を見仰いだ。
「できないなら、私、あなたを飼えない！」
『なっ!?　……うむむむ。高貴なわしにネコのふりなど、果たしてできるじゃろうか』
　なんと言われようが、こちらだって命がけだ。とはいえ、ベルの見た目はまんまネコ(ちょっとばかしデカイけど)。あまり問題はないように思えた。
「私以外の前でそんなふうにお喋りさえしなければ、まず大丈夫だと思うわ」
『ん？　わしの言葉は、そなた以外には意味を持って聞こえんはずじゃぞ』
「え!?　そうなの!?　じゃあ、ベルの声ってみんなにはどんなふうに聞こえてるの？」
『……はて？　そう言われれば、自分では聞いたことがないからな』
　なんと！　ベル自身、自分の声が他の人にどう聞こえているか知らないようだった。
　――カサッ。
　その時、樹木の向こう側からこちらにやって来る足音が聞こえた。