私の声に応えるように、一度キラリと光ってから、水の魔粒子のリーダーは雨空に溶け込んだ。
 やがて、パパの姿が完全に見えなくなってから、私は窓を閉めた。窓辺から離れて室内に戻ろうと足を踏み出しかけて、ふと、視界の端を真っ白な毛玉みたいな物が掠めた。
 ……ん?
 慌てて窓に張り付いて見下ろせば、屋敷の中庭で白い毛むくじゃらが丸まっていた。……あれ、ネコ?
 樹木の下で体を丸めた長毛の毛むくじゃらは、ネコのようにも見えるが、いかんせんサイズがでかい。きっと一メートル以上あるよね。モフモフした尻尾も入れれば、体長は二メートルを超えそう。
 弱っているのかピクリともしないそのネコがどうにも気になって、私は首を傾げつつ速足で中庭に向かった。
 樹木の葉が雨避けとなって、幸いにも体は濡れていなかった。しかし、ネコが弱っているからか美しい純白に艶はなく、長い毛足の体毛は全体的にペタンとしてボリュームがなかった。
「ネコちゃん? 大丈夫?」
『……』