「昨日の夕食だ。リリーは俺が差し出したパンにはひどくビクついていたのに、お前がよそってやったシチューや飲み物はニコニコと受け取っていただろう。もしかして俺は、リリーに怖がられているのではないか? いや、俺の気にし過ぎかもしれんが……」
俺は束の間、昨夕のひと幕に思いを馳せた――。
昨日は勤務後のバイアスが我が家に寄っていった。せっかくだからと夕食に誘い、リリーと俺、バイアスの三人で食卓を囲った。
俺は男所帯の騎士団所属が長く堅苦しいのを好まない。給仕を下がらせ、肩肘張らない食事を開始した。
『いやぁ。さすが侯爵家の夕食は美味いッスね~!』
『バイアス、唸っているところに水を差してすまんが、これを作ったシェフは騎士団食堂出身の料理人だ』
侯爵家お抱えの怠惰なシェフは、金銭の不当な使い込みが発覚したため解雇していた。
俺は束の間、昨夕のひと幕に思いを馳せた――。
昨日は勤務後のバイアスが我が家に寄っていった。せっかくだからと夕食に誘い、リリーと俺、バイアスの三人で食卓を囲った。
俺は男所帯の騎士団所属が長く堅苦しいのを好まない。給仕を下がらせ、肩肘張らない食事を開始した。
『いやぁ。さすが侯爵家の夕食は美味いッスね~!』
『バイアス、唸っているところに水を差してすまんが、これを作ったシェフは騎士団食堂出身の料理人だ』
侯爵家お抱えの怠惰なシェフは、金銭の不当な使い込みが発覚したため解雇していた。



