今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~

 そのまま赤ん坊でもあやすように、パパが大きな手でよしよしと優しく背中をさすってくれる。
 どのくらい経っただろう。安定感のある逞しい腕に抱かれ、人肌の温もりとトクントクンと響く鼓動を感じていたら、いつしか涙は止まっていた。
 そっと頭を上げると、パパが柔らかな眼差しで私を見つめていた。
「これからも、泣きたい時はパパのところにおいで。そうすれば君の涙が止まるまで、パパがいつまでだって背中をさすってやる」
「うん、パパっ」
 私は再びキュッとパパの首後ろに手を回し、言葉で言い尽くせない「ありがとう」の思いを込めてギューッと抱きしめた。
「さぁ、屋敷に戻るか」
「うん」
 パパが私を抱っこするのと反対の手を玄関の扉にかけた。
 その時、私たちの背後に濃密な魔力の渦が巻き起こる。
 え!? これ……!
 慌てて振り返ると、魔力によって割れた空間から、のんきな声があがる。
『今戻ったぞ~』
 直後、重そうな風呂敷包みを背負ったベルたちが、空間を割って現れた。