「大丈夫だ。俺が付いているから、もう君の眠りに怖い夢は訪れない」
 こそばゆい刺激と続く台詞に驚いて、思わずパチッと目を開く。
 わっ!? 鼻先が触れそうな近さと、間近に見るグリーンの眩さに息を呑む。
「どこか具合が悪いのか?」
 アルベルト様は目を見開いたまま固まってしまった私を怪訝そうに見下ろし、ペタンと額に手を当てた。
 ヒ、ヒィッ!?
「どれ、……ふむ。別段熱はなさそうだな」
 アルベルト様はおでこに手のひらをのせたまま、ますます眉間の皺を深くした。
 緊張と恐怖で喉がカラカラになっていた。
 唾を飲もうとしたら、渇いた喉が張り付いたようになってしまい、背中を丸めて咳込む。
「っ、……ケホッ。ケホッ!」
「大丈夫か!?」
 アルベルト様が慌てて私の上半身を起こし、さすってくれる。
 っ、違うよぉ。さすってもらうのは気持ちいいけど、今欲しいのはそれじゃない! ……水、水をちょうだいっ!
 咳の苦しさで涙が滲んだ目をキュッを瞑る。
「団長、とりあえず水を飲ませてやるッス」