「え? バイアスんさんのお土産? 唐辛子ライスクラッカーなんて、初めて聞くお菓子ね」
「あぁ、前に騎士団の地方巡回で行った土地の名産なんだが、これがなかなか美味い。ただし、結構な辛さだから、リリーはまずはひと口味見してみるといい」
 そう言ってパパが籠から取り上げたのは……あ! これ、まんま唐辛子せんべいだ――!
 そっかぁ。ライスクラッカーっておせんべいのことだったのね。
 この世界にもお米があるのは知ってたけど、地方の名産品におせんべいがあったのか。……ってことは、いつかお餅も食べられるかもしれないな!
 もち米を蒸かして、みんなで餅つきパーティするのも楽しそう! パパが大きな唐辛子せんべいを器用にひと口大に割り砕くのを見ながら、私はわくわくと、ひとりでこんな想像を巡らせていた。
「リリー、あーんだ」
「あーん」
 お口を開くと、パパがひと口サイズになった唐辛子せんべいを入れてくれる。
 ――バリッ、バリッ。