……あぁ、そうか。
 本来、移動動物園はパパとヴィオラの恋愛イベントの場だったのだ。
 そして、この動物園で動物たちを闇魔力を使ってけしかけ、凶暴化させるのが私。シナリオ通りなら、それをヴィオラが治め、この悪行によって極悪幼女である私は堪忍袋の緒が切れたパパに手打ちにされる――。
 この展開が、ゲームの本来の話筋だったのだ。
 私の中で、全ての点が一本の線になって繋がった。
「ってか、めっちゃ珍しいおふたりがいるんッスけど。……これ、膝を突いて頭下げたりとかしない方がいい感じッスよね?」
「そうだな。今日の俺は、アルベルトのパパ友というやつだ。それを念頭に、接してくれ」
「了解ッス」
 視界の端では、バイアスさんと王様父子が妙ちくりんなやり取りをしていたが、脳内処理で大忙しの私にそんなものを気にする余裕はなかった。
 ……私、喜んでいいのかな? これで、完全に死亡エンドは回避されたってことだよね?