王様がクイッと指さす方を見れば、周辺で多くある飲食店のどこに行こうかと選んでいた人たちが、こぞってホットドッグの売店に向かっていくではないか。
「ねぇ、あの子が魔法のホットドッグとまで言っていたのよ!? うちもあそこのホットドッグにしない?」
「賛成! 僕もあの子の食レポ聞いてたら、食いたくなった」
 食レポ!? わ、わっ、わぁあああ~っ。
 まったくもって、そんなつもりじゃなかったのだが。私は恥ずかしさに身悶えた。
「あぁ! ホットドッグを語るあの子の目、めっちゃ力入ってたしな。こりゃ、俺たちも食わないでは帰れねえぜ!」
 周囲の人たちが皆、チラチラと私に視線を向けつつ、ホットドッグの売店に足を進める。漏れなく私のことを話題にあげながら……。
 私ってば、どんだけ声高に力説してたの――!
 瞬く間に出来上がっていく長蛇の列を横目に、あまりの居た堪れなさに身を縮めた。
「はははっ! 嬢ちゃんはなかなかのインフルエンサーだ」