馬車がゆっくりと走り出し、カタカタと伝わってくる振動に身を任せながら、祖父母に『悪魔の子』とまで言わしめた姪に思いを馳せる。……いや、爵位継承をはじめもろもろの手続きを終えた今、彼女は既に姪ではない。俺の義娘だ。
遠い異国には古の時代の名残である魔力を尊び、現代に生まれついた魔力持ちを国主導で保護するところもあるが、ユーベルグルク王国にあって魔力持ちは忌み嫌われる傾向にある。しかし、それを加味してもリリーに対する祖父母の言動は、常識の範疇を逸脱していた。
リリーは日頃からそれだけ非常識な魔力の使い方をしているのだろう。
「……はぁ。実に頭が痛い」
たしかリリーは、まだ五歳。その歳にして『悪魔の子』と呼ばれる娘とは、いったいどれほど邪悪な存在なのか。
「なんか今日、めっちゃ空気が重いッスね。窓開けたら少しよくなるッスかね? よいしょっ」
あくせくと車窓を開けだすバイアスを一度チラリと見やり、再び目を瞑って視界から排除する。
遠い異国には古の時代の名残である魔力を尊び、現代に生まれついた魔力持ちを国主導で保護するところもあるが、ユーベルグルク王国にあって魔力持ちは忌み嫌われる傾向にある。しかし、それを加味してもリリーに対する祖父母の言動は、常識の範疇を逸脱していた。
リリーは日頃からそれだけ非常識な魔力の使い方をしているのだろう。
「……はぁ。実に頭が痛い」
たしかリリーは、まだ五歳。その歳にして『悪魔の子』と呼ばれる娘とは、いったいどれほど邪悪な存在なのか。
「なんか今日、めっちゃ空気が重いッスね。窓開けたら少しよくなるッスかね? よいしょっ」
あくせくと車窓を開けだすバイアスを一度チラリと見やり、再び目を瞑って視界から排除する。



