「まぁっ。たしかに、普段とんと目にしない最新の設備ばかりでしたものね」
「そうだね……」
 パパの案内で回った騎士団施設は、たしかに立派だった。だけど、私の心になにより鮮烈に印象を残したのはそれじゃない。
 私の胸をこんなにも騒がせるのは、パパ――。
 ……強くて優しくて、他の誰より私のパパが一番素敵……ふぁあっ。
「あらあら、お疲れになったのですね。お嬢様、お屋敷に着きましたらお起こししますから、少しお休みなってください」
「……うん」
 流れるように剣を揮う勇ましい姿。
 私のことを優しく見つめるグリーンの瞳。
 そしてドキドキしながらパパのおでこにしたキスと、そのお返しにされたキスの温もり。
 これらを思い出しながら、私はカタカタと心地いい馬車の揺れに身を委ね、とても幸せな気分で夢の世界に旅出った。