今日から騎士団長の愛娘!?～虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです～

「ごめんね、ふたりとも！　私、またひとりで先走っちゃって」
「いえいえ。しっかり手を繋いでおかなかった私もうっかりしておりましたので。お嬢様に何事もなく、よかったですわ」
　パパはふたりの姿を見て、首を捻りながら尋ねる。
「なるほど、リリーはふたりと一緒だったのか。ところで、今日は何用でここに来たのだ？」
「やだ、パパったら！　忘れ物に気づいていないの？」
「忘れ物？」
　パパは私の言葉にもまだピンとこないようだった。
「私どもはアルベルト様がお忘れになった……ええっと、こちらの書類フォルダーをお届けにきたのですが」
「ん？　それは今日は使わなくなったから屋敷に置いてきたのだ」
　ジェームズが差し出す書類フォルダーを一瞥し、パパはあっさりと口にした。
「ぇええっっ!?」
「あらまぁ！」
「なんと！　そうだったのですね!?　てっきりお忘れになったのだと……。いやはや、早とちりをしてしまい、申し訳ございません」
「なに、勘違いは誰にでもある」