今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~

 乞われるまま、同じ高さになったパパの額にチュッと触れるだけのキスをする。たったこれだけのことだけど、一生分を振り絞るみたいな勇気がいった。
 ……ひぇ~ん、恥ずかしいっ。
 きっとほっぺたは、リンゴみたいに真っ赤になっているだろう。
「ありがとう、リリー」
 パパがお返しとばかりに、私の額に優しくキスを落とす。
 わっ! パパの唇が触れた部分が、ぽかぽかと熱を持つ。
 こそばゆくて、そわそわして、だけどそれ以上にいっぱいの幸せが胸を満たす。
「へへっ。パパもありがとう」
 私とパパは周囲の視線もなんのその。しばし抱っこのまま見つめ合っていた。
「まぁまぁ。リリーお嬢様ったら、先に行ってしまわれて。心配いたしましたよ」
「クレア! ジェームズ!」
 振り返るとふたりが人垣を割って、私たちのすぐ近くまで来ていた。
 わわわっ。そう言えば、私ってばつい気が焦っちゃって、クレアの手を振り解いて駆け出しちゃったんだ。