今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~

 その中のひとりと肩がぶつかってよろめく。体をなんとか立て直そうとするけど、叶わずにポテンッと尻もちをついてしまった。
 ……今の、なに?
 私は咄嗟のことに、目をパチパチとさせた。
「キャーッ!! 騎士団長、お見事です!」
「素晴らしい剣技にほれぼれいたしましたわ、お疲れさまでございます」
「どうぞ、こちら汗を拭くのにお使いください!」
「訓練後の疲労回復に効果的な飲み物です。よかったら飲んでください!」
 ハッと気づいた時には、先ほどの女性騎士たちがパパを囲んでいた。
 ぇ、えぇえっ? なにそれぇ! 私のこと押しのけておいて、それって酷くない?
 地面に尻もちをついた衝撃と、今まさに駆け寄ろうとしていたパパを先に取られてしまった悲しさで、目にじんわりと涙が滲む。
「ぅうっ」
 悔しさに唇を噛みしめながら、俯いて目もとを拭う。
「ぅえぇっ……。私だって、パパに『お疲れ様』って『凄かった』って言いたかった。……パパは、私のパパなのに……っ、あっ!?」